うつ病は早めの治療が大切【心身ケアの扉】

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病気のわかりにくさ

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病気を理解するには

私たちが病気だなとか病院に行こうと思うときは、あんなことがあったから今こんな風に体調が悪いのではないかと考えるように、体調の不良とその原因に心当たりがあったり何となく疑わしい出来事があることが多いのではないでしょうか。 例えば交通事故で大きな衝撃を受けて、足の骨が折れたので歩けないとか、胃の中に菌がいてそれが胃壁の働きを弱めているので炎症ができて痛みがあるとか、あるいはニコチンなどの物質が肺の中で細胞に働きかけて周りと違う腫瘍を作ってしまい肺が働かなくなるなど、大抵の病気は原因とそれの体への影響の仕方、そしてどのような症状が現れるか、本人や周りが納得しやすく、場合によっては目にも見える仕組みがあるものです。うつ病の場合はどうでしょうか。うつ病になった原因を一つに特定するのは難しいです。 心理的、物理的なストレスが理由として考えられやすいですが、ストレスを受ければいつもより気持ちが落ち込むのは多くの人にとって普通のことですし、同じストレスでも環境や受け止め方、影響を受けるタイミングは千差万別です。もともと神経伝達系に障害がある場合もあり、時間とともに昔経験したストレスの影響の仕方が変わり、現在の脳神経の状況の方がうつ病の症状を生み出す主因となることもあります。うつ状態になると、脳の中の神経と神経の間を行き来する、セロトニンやノルアドレナリンという脳内神経伝達物質が少なくなるのが知られていて、これを改善するとうつ状態やうつ病の改善につながることもわかっています。しかしなぜ減少するのかはよくわかっていません。 脳の中の神経組織の仕組みに関する知識はあまり一般的でなく、憂鬱な感情がどう生まれどう伝わるのかはよくわかっていない状況です。しかも見たり触ったりできないので他の病気のように、ここがこうだからこうなると直感的に理解するのは難しいでしょう。

見えない症状と対応

うつ病は気持ちにかかわる病気なので、怪我や腫瘍のように外見だけではわからないのが普通です。病気の初期や軽症の場合は、一日中寝込んでいるようなことはありません。時には笑顔を見せることもあります。 憂鬱な気持ちが広がっているといっても外見ではわかりません。病状が悪化して、集中できない、やる気が出ない、眠れない、どこにも行きたくなくなる、体が動かない、そうなって初めて周りも異常に気が付くことがほとんどでしょう。症状の深刻さがわからない 嫌なことがあって憂鬱な気持ちになるのは誰にでもあることです。うつ病の症状を聞いて私にもそんな経験があると感じることもあるでしょう。また、憂鬱な気持ちになることと、うつ病の発症は連続的であるとも考えられています。 しかし、少ししたら忘れて何か行動ができるような気分の落ち込みと、脳神経伝達機能に障害が起きた時の気持ちは同じだと考えないほうがいいでしょう。 うつ病の人は、払いのけられない、粘着するような灰色の無力感、一日中押しつぶすようにのしかかる暗いマントのような息苦しさ、前触れもなく襲う自己嫌悪と死にたい気持ちに見舞われるといいます。もしそれらを本当にわかると思える時は、その人自身うつ病を疑ったほうがいいでしょう。今はうつ病ではないが病気の症状がわかると言えるのは、うつ病から回復した人だけかも知れません。対応について このようにうつ病には原因、発症の仕組み、症状のとらえ方と進み方に他の病気と比べてわかりにくい側面が多々あります。そのため誤解にもとづく不適切な対応をとり状況を悪化させてしまう可能性もあります。 早期の適切な対応が大切なのはいずれの病気も同じですが、うつ病の場合はこのわかりにくさゆえに機会を逸することもありうるので、わかりにくさを意識し、先入観を持たずに心身の状態をチェックし、専門機関への相談を心がけることが勧められます。